富士登山へ

過酷さ故に、不人気の御殿場ルートに挑む!

台風5号の接近で天候が危ぶまれましたが、なんとか天気も回復し、関東の梅雨明け初日となった7月18日に鶴見工場 小澤係長、木場工場 古森主任とで富士登山へ行ってきました。

今年から入山料として4000円の支払いの義務化と弾丸登山規制が始まり、日帰り登山でも最速で3時からの入山となります。今回古森主任は初めての富士登山ですが、唯一マイカー規制がかからないという理由で標高が最も低く最長ルートの御殿場口から登りました。

暗闇の中を黙々と・・・

辺りは明かりもなく、人気のないルートだけあり登っているのは二人だけです。御殿場ルートの不人気な理由は距離が長い上に休憩する山小屋が少なく、足場の悪い砂地を延々と登る過酷さにあります。それに加えこの日は山から吹き下ろす風も強く、過酷さに輪をかけます。それぞれのヘッドライトの灯りを頼りに6合目を目指し、ほどなく会話も無くなり黙々と登っていると、東の空が明るんできました。息をのむ絶景に疲れも吹き飛びます。

薄くなる空気、頂は遠く・・・

人気のない御殿場ルートではありますが、裏を返せば人が少なく、絶景を見ながらマイペースで登れるというメリットがあります。7合目を過ぎると次第に空気が薄くなり、頭がぼーっとしてきます。いわゆる高山病です。

幸い古森主任は全く影響なく、過去4度の登山でほぼ体調が悪くなっていた小澤係長も今回は登頂を目指すのに支障をきたすほどの症状にはならずに済みました。

八合目から最大の難所、そして・・・

八合目から山頂までは反り立つ壁のような急斜面をつづら折りに1キロほど登ります。加えてこれまでの砂利道からスコリアと呼ばれる赤い溶岩に変わり足場も悪くなります。まるで火星を探検しているかの様です。時折振り返ると、高層雲と低層雲の狭間のここでしか見られない光景が眼下に広がっていました。

しばらくは山頂も視界から隠れ、上を見上げると「もう無理かも…」と何度も心が折れそうになりました。でも、一歩一歩、下を向いて足元だけを見て進み続けました。そして、ついに山頂の白い鳥居が見えたとき、今までのつらさが全部吹き飛ぶくらい感動しました!

これは、印刷の仕事にも通じます。時には予期せぬトラブルが起きたり、時間との勝負になったりすることもあります。でも、諦めずに粘り強く解決策を探し、最後までやり遂げる心が、信頼されるプロフェッショナルには欠かせない力です。

無事に到着し、山頂の噴火口をバックに記念撮影。写真では到底伝わらないスケールに圧倒されます。

御殿場口のすぐ隣にある富士宮口の浅間神社を参拝し、山小屋で一杯1000円のプレミアムな豚汁を食べました。山頂は普段見慣れた飲み物もプレミアム価格です。

下山。帰りは風のように・・・

登りは一番長く過酷な御殿場ルートですが、帰りは7合目から名物の「大砂走り」で飛ぶように一気に下ります。山頂ではなく、ここに来るために登る人もいるほどです。くるぶしまで埋まるほどの砂地の急斜面がゴールまで続きます。

山頂からの赤い溶岩の世界から一転、月世界のような砂の大パノラマが目の前に広がります。

登りは10時間近くかかりましたが、下りは3時間ほどで到着しました。

天気もさることながら、平日の休みに都合を合わせられたので、人が少なかったのも良かったと思います。

御殿場ルートは噂通りの過酷なコースでしたが、生涯忘れられないような様々な絶景を見せてくれました。

麓へ降り振り返ると、西日をバックに神々しいシルエットの富士山がそこにありました。

ほんの数時間前まであの頂にいたのかと思うと、感慨深い気持ちになりました。

大変な道のりを乗り越えたからこそ、特別な達成感と景色を味わうことができ、生涯忘れがたき非常に有意義な休日を過ごすことができたのだと思います。